かつて日本には、「借金は恥」という精神文化がありました。
江戸時代の武士は、借金をしていることを知られたり笑われたりたりするくらいなら死を選ぶ、というほど「借金」に対して「恥の意識」を持っていたといいます。

明治以降でも、欲しいものがあれば、それを手に入れてから支払いをするのではなく必要なだけの蓄えができて初めて手に入れるのが一般的でした。
こうした考え方は、いつのころからかは定かではありませんが、大きく変化してきています。

特に住宅や車などの高額な商品は、一部の富裕者を除けば、金融機関などからローン(loan:貸付)を受けることで手に入れるのが一般的で当たり前の情況になりました。近年では、ローンで手に入れる商品の代表は、携帯電話でしょう。ところが、自分が借金をしていることを意識している人は、ほとんどいません。

電話機の代金は月々の使用料に加算して支払うケースが大半ですから、事実上は借金をしていながら意識することがないのです。
「借金は恥」といった精神文化は、戦後生まれの人口が総人口の75%を超えた今、「生活スタイルや物の買い方、貯蓄に対する意識などの変化」や「借る方法の多様化や簡便化など」によって、大きく変化してきました。この変化は、文化や意識の自然な流れとして受けとめるべきなのでしょう。

日頃、借る側の「借金」も貸す側の「貸付」も、同じローン(loan)と表現されています。正しくは、借金はデット(debt)で、貸付はローン(loan)と表現すべきです。

しかし、正しく使い分けをしないでも、微妙なニュアンスで使い分け・聞き分けされていますから、問題ではありません。もしかすると、「借金」ということばには、いまだに「借金は恥」といったことを感じさせるものがあるのかもしれません。

このローンが、深刻な社会問題になった時期があります。いわゆるヤミ金業者のローンに関係して超高金利、暴力回収、家庭破壊、夜逃げなどの問題です。そうした問題に対処するため、平成15年5月の第156回国会において、ヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)が成立しました。

法律の施行でヤミ金業の問題が全て解決したわけではありませんが、借る側の意識が大きく変化したのは事実です。

現在、ローンの取り扱いができる金融機関は、総量規制(個人の借入総額が、原則、年収などの3分の1までに制限される仕組み)の適用を受けるか否かによって2つに分かれます。一つは銀行で、総量規制の適用を受けません。もう一つは、総量規制の適用を受ける消費者金融会社です。

以前は、一般的には「銀行よりも消費者金融会社の方が借り易い」と言われていました。しかし、銀行でも従前からの「目的別ローン」に加えて「カードローン」が取り扱われるようになった現在、金利の低さや銀行のもつ信頼度の高さから、「銀行は借りにくい」といったことを耳にしなくなっています。

いずれの金融機関から借金をするにしてもメリットとデメリットがありますが、条件さえクリアできるのであれば、低金利で信頼性の高い銀行を利用してみてはいかがでしょう。

銀行のカードローンについて

銀行や消費者金融が発行するカードを利用して、契約したローンの金額の範囲内でATM(現金自動預け払い機)やCD(現金自動支払い機)を通じて資金を借り入れできる、原則として個人向けの無担保融資のことを、カードローンといいます。

カードローンは、「銀行」の普通預金口座のキャッシュカードを利用するものと「消費者金融」がカードローン専用に発行したカードを利用するものがあり、借り入れの際にはいずれもカードを使用することからこのように呼ばれています。

カードローンのうち、「銀行」がサービス提供しているものを「銀行のカードローン」といい、「銀行本体が行っているカードローン」と「銀行の子会社や同じグループの消費者金融が行っているカードローン」の2タイプあります。一般的には、この2タイプを一括して「銀行系カードローン」の名称で呼ばれています。なお、ATM・CDについては、銀行本体が設置するもののほか、提携する金融機関が設置するものを利用できます。

銀行のカードローンは、貸金業法の改正によって「銀行のカードローンが総量規制の対象外なので借入限度額が大きいこと」や「銀行のカードローンは低金利であること」などから、近年、注目されるようになりました。

総量規制とは『個人の借り入れの合計額が、原則的に年収の1/3までに制限されるルール』のことです。改正貸金業法(2010年6月18日施行)によってローン業界に導入されました。導入目的は、大きな社会問題になった悪質金融業者による返済可能額を超えた貸付けを防止し、借り手を保護することだと言われています。

銀行と消費者金融のローンの違い

銀行のローンと消費者金融のローンには、いくつかの点で違いがあります。ローンを利用する人(お金を借りる人)にとっては、その違いは銀行でお金を借りる場合と消費者金融でお金を借りる場合のメリット・デメリットということもできるでしょう。

銀行と消費者金融のローンの違いは、銀行のカードローン取扱い開始や銀行系消費者金融の誕生などで、銀行と元貸金業系消費者金融の違いほど明確と言えないものもありますが、次の4点で違いがあります。それは「金利」「借入れ限度額」「審査速度」「総量規制」です。それぞれの違いを、具体的に見ていきましょう。

「金利」は、出資法を根拠として金利を設定している銀行よりも、利息制限法の上限金利を根拠に「消費者金融の方が高い金利を設定」しています。
「借入れ限度額」は、圧倒的に銀行の方が高い額が設定されており、最大800万円といったものまであります。「審査速度」は、銀行の場合は「事前審査」と「本審査」の2つの審査を行うために、短時間では終わりません。「総量規制」は、銀行のローンには「総量規制」が適用されないので、年収の3分の1以上の借入れができます。

これらの4点以外に、本人に収入がない場合は消費者金融では借入れできませんが、銀行のローンでは、原則として世帯収入で審査されますので、本人に収入がない専業主婦であっても夫の収入に基づいて審査を受けることができます。

ローンを希望する人は、銀行と消費者金融のローンの違い(メリット・デメリット)をよく確認した上で実行にうつしてください。

目的別ローン

銀行でお金を借りる場合に銀行ローンを利用する方もいるでしょう。銀行ローンには、大きく分けて2つあります。一つは使途を限定した「目的別ローン」ともう一つは使途を限定しないフリーローンです(銀行にはカードローンもありますが、使途を限定しないことからフリーローンに含められています)。

目的別ローンの「目的」とはローンで借る「資金の使途」のことで、それぞれの銀行によってさまざまな使途が準備されています。その代表的なものは「住宅購入」「車の購入」「教育」「増改築」「旅行」「結婚」などで、それぞれ「住宅ローン」「マイカーローン」「トラベルローン」などの名称が付けられています。

目的別ローンの場合、申込書以外に、ローンの使い道を確認するための資金使途証明書(マイカーローンの場合は、購入予定車の見積書・注文書・売買契約書などの写しで、その目的に使用することを証明する書類)などの作成や提出、ローンは本人ではなく銀行から支払先へ入金することなどがローンの条件に設定されています。作成や提出する書類が多いことから、一般的には、「フリーローンより審査基準が厳しく融資実現までに時間がかかる」と受け取られているようです。

審査が厳しかったり時間がかかるなら使途を限定しないフリーローンの利用に変更すればいいのですが、目的別ローンとフリーローンでは金利に違いがあります。目的別ローンの金利の方が低めに設定されているのです。

この金利もそれぞれの銀行によって、また「目的」によって違いがあり、その銀行が特に力を入れて取り組みたい「目的」やキャンペーンとして取り組む「目的」の金利は、安く設定されているのが一般的です。